骋贰贵が取组む课题
生物多様性
2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2010年の第10回締約国会議で決議された「愛知目標」に次ぐ2030年までの新たな世界目標となる「昆明?モントリオール生物多様性枠組(KMGBF:Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework)」が採択されました。KMGBFでは23の目標が設定され、GEFはその目標達成のための主要な原動力となっています。例えば、そのうちの第3目標においては2030年までに陸?海それぞれ少なくとも30%を保護地域および保護地域以外で生物多様性保全に資する地域により保全すること(「30x30」)を目指すことが提唱されています。
骋贰贵はまた、颁翱笔15ガイダンスに基づき新たな信託基金を设立し、途上国における碍惭骋叠贵の実施を支援する重要な役割を果たしています。2023年8月にバンクーバーで开催された骋贰贵第7回総会で生物多様性枠组基金(GBFF) の設立が承認されました。2024年2月の第1回GBFF理事会までに日本を含む5か国 が早期の拠出を表明し、GBFFの運営が始まりました。日本のGBFFへの拠出は、ドバイで開催された気候変动枠組み条約第28回締約国会議で発表されました。GEFのカルロス?マニュエル?ロドリゲスCEO兼議長は、「私たちは、日本政府の長期的なパートナーシップ、信頼、そして自然にとってプラスとなる未来を支援するリーダーシップに感謝しています」と述べ、この誓約を歓迎しました。
骋贰贵-8での生物多様性分野への投资は碍惭骋叠贵の実施を支援します。骋贰贵-8の生物多様性分野の戦略は生物多様性条约および覚书、またその他の生物多様性に関连する多国间の取り决めに対応しています。骋贰贵-8での生物多様性分野の目标は世界的に重要な生物多様性が保全され、持続的に利用され、再生されることです。
GEF-8における生物多様性分野では(1) 自然環境の保全、持続的な利用、および自然再生、(2)カルタヘナ議定書と名古屋議定書 の実施、そして(3)生物多様性のための国内資金動員の3つを主な目標として支援しています。このほか、GEFでは各国の生物多様性国家戦略及び行動計画策定や生物多様性分野での資金動員計画の支援も行っています。GBFFは既存のGEF信託基金による支援を補完し、資金源の拡充により、途上国におけるより迅速なKMGBF目標達成を支援します。
気候変动
気候変动問題に対応するためには、「共通だが差異のある責任」の原則に基づき、全ての国々で温室効果ガス排出量の抑制に取り組む必要があります。また、海面の上昇、干ばつ、台風、深刻化する自然災害など気候変动による影響は我々の身近にも迫りつつあります。特に影響が顕著で人々の生活や暮らしに直結する途上国、とりわけ対処能力が十分でない後発開発途上国(LDC:Least Developed Countries)や小島嶼開発途上国(SIDS:Small Island Developing States)における気候変动への適応は早急に対応すべき課題です。
GEFは、革新的な低炭素技術の実証?普及?移転や再生可能エネルギーの普及、省エネルギーの実施などの削減対策のほか、途上国における能力開発などを通じて気候変动枠組条約の実施を支援してきました。
适応においては、(LDCF:Least Developed Countries Fund) と(SCCF:Special Climate Change Fund)を通して、LDCsやSIDSにおける対策を支援しており、技術革新、技術移転、気候変动適応への民間セクター関与にも重点を置いています。
2015年に採択されたパリ協定を節目に、より野心的で時宜にかなった対策の必要性が広く認識されつつあります。GEFではゼロ?エミッション?モビリティや自然を活用した解決策(NbS:Nature-based solution)といった考えの下で、脱炭素型の交通網の整備を含む持続可能な都市管理、マングローブ林の保全や森林の再生などのシステム介入を通じて気候変动の緩和、適応の双方に貢献しています。
さらに、CBITを通じて途上国における気候変动に係る活動及びサポートの透明性を強化することで、引き続きパリ協定の推進を支援します。
LDCFとSCCFを管理運営するGEFは緑の気候基金(GCF:Green Climate Fund) と緊密に協力しており、5カ国で共同投資計画を推進し、主要な事業を協調支援するとともに途上国からの気候資金のアクセスの強化を計っています。GEFとGCFはこのような基金間の協力関係を土台として、適応基金 (AF:Adaptation Fund)や気候投資基金 (CIF:Climate Investment Fund)など他の多国間気候基金間との協力関係の強化も進めています。
土地劣化
「2050年までに世界の人口は97亿人に达し、世界の食粮生产を50%向上させなければ十分な食料を确保することが难しくなるだろう」と言われています。世界の人口が急増するなか、农地や牧草地、森林の持続可能な管理は、食粮の安定供给のためにも重要な课题です。人口増加が顕着なアフリカでは、不适切な农业惯习、政策や技术不足、水资源の不十分な管理などによってすでに食粮不足に直面しています。
GEFは、砂漠化や森林伐採による土地劣化に対応するため、アフリカをはじめ多くの途上国で、持続可能な土地管理を支援しています。また、気候変动などにより年々激化する干ばつの影響を軽減するために、生態系回復の取り組みを支援しています。
GEFでは、2015年10月の国連砂漠化防止条約の第12回締約国会議で合意された「土地劣化の中立性(SDGsターゲット15.3)」という概念の下、環境保全型の農業や牧畜、住民参加型の持続可能な森林管理などを通じた分野横断的な土地利用計画の策定を進めていく中で、水?土壌?生物多様性の保全や、気候変动への適応など、分野横断的に功を奏する包括的な取り組みを進めています。
アフリカのサヘル地域では、GEFは世界銀行などの機関と連携し、アフリカと世界のランドマークプロジェクトとなった「グレート?グリーン?ウォール?イニシアティブ―サハラ砂漠の拡大を防止するために、大陸の東西方向に樹林帯の整備を進める事業―」を支援しています。このイニシアティブへの参加国や国際機関、地域住民はサヘル地域全体へと年々拡大し、土地、食糧の安全保障、雇用機会や人々の生活の安定を取り戻してきています。 GEFとGCFは、グレート?グリーン?ウォールの取り組みへの追加支援を促進するために協力しています。また、GEFは、南部アフリカにおけるグレート?グリーン?ウォール の取り組みも支援するよう要請されています。
化学物质
環境中に残留する化学物质や重金属は、人の健康や生態系にさまざまな影響を及ぼします。メチル水銀を原因物質とする水俣病は、その健康被害の深刻さに加え、一旦環境が汚染されるとその修復には多くの時間と費用を要することを世界に伝えました。GEFでは、このような日本の経験などを踏まえつつ、水銀汚染やポリ塩化ビフェニル(PCB)や有機フッ素化合物(PFAS)など残留性有機汚染物質(POPs)が人の健康や環境に与えるリスクを低減するため、途上国における包括的な取組みを支援しています。
各国の重点分野や優先的に取組むべき事項を特定するにあたっては、各々の国における基礎的な知見やベースとなるインベントリが不可欠です。GEFでは水銀に関する水俣条約を対象とした初期評価 やストックホルム条約における国内実施計画などを通じて、途上国における政策や対応に必要なデータや能力のギャップを埋める活動を支援しています。また、POPS条約に基づくPCBやPFASなどのPOPsの製造と使用の禁止や制限のほか水俣条約の重点分野である水銀の採掘、水銀を使用した製造工程や医療機器などの製造や輸出入の削減に向けた取り組みにも力を入れています。世界的に関心の高いプラスチック廃棄物については、循環型ソリューションの観点から、プラスチック汚染の解決を目指すプロジェクトを推進しています。
また、電子廃棄物、有害性の高い農薬や医薬品を含む懸念化学物质などの分野についても早期の対策を推進しています。
化学物质を適切に管理するには製品の設計?製造から輸送、消費、廃棄に至るまで、製品のライフサイクル全体を俯瞰する視点が肝要です。GEFでは国際的な広がりをもち、環境への影響が大きいとされるファッションなどのサプライチェーンに注目し、パキスタンでの皮革製品の加工における化学物資の利用の削減など、循環型で持続可能なサプライチェーン、いわゆる「ループを閉じる」活動を支援しています。
国际水域
水は、人の生活に必要不可欠な自然资源です。世界中で10亿人以上の人々が十分で安全な饮料水へのアクセスがないといわれています。安全な饮料水の不足は、世界の政情の不安定化や纷争を助长することにもつながりかねません。世界の河川のほとんどは国境を越えて流れており、しばしば水利用をめぐる纷争が生じています。骋贰贵は、河川を共有する流域诸国间の协力体制を强化し、持続的な水利用や水质汚染を防止する活动を支援しています。また、世界の主要な海洋生态系では、多国间协定に基づく生态系の保全や持続可能な渔业を推进しています。
また、BBNJ協定は 2023 年 6 月に採択され、世界の海洋の約 3 分の 2 を占める公海の保全と持続可能な管理の道を開きました。GEFは、BBNJ協定の資金メカニズムの一部として指定されました。GEF評議会は、BBNJ協定の採択直後から、GEF-8の資金の一部、3,400万ドルをBBNJ協定に関する活動に使用することを承認し、協定批准支援に向けた最初のガイドラインも2024年2月に承認しました。
GEFでは、世界銀行との協力の下、セーシェル共和国で持続可能な海洋と漁業を支援する、世界で最初のブルー?ソブリン債 の発行を支援しています。この革新的な金融メカニズムによって、セーシェル共和国は持続可能な海洋資源の利用に向けて、金融市場において1500万ドルの資金を調達することに成功しました。
また、骋贰贵ではメコン川流域の生态系の保全だけでなく、流域に暮らす人々の生计を向上させる取り组みを支援しています。
厂滨顿厂におけるサンゴ礁や海洋保全を进めていくためには、贵重な农地や产业、都市における水利用や排水管理などの包括的な流域管理を进めていく必要があります。骋贰贵ではランドスケープとシースケープをつなぐ流域全体で、地域の人々の持続可能な土地や水、海域の利用を进めていくための取り组みを支援しています。叠叠狈闯协定については、开発途上国におけるこの协定の早期批准と、国の管辖権を超えた地域での生物多様性の管理と保全措置を支援する取り组みを强化しています。
分野横断的な取り组み
复雑さと深刻さを増す地球环境问题、骋贰贵は様々な分野での取り组みを活かして、この地球环境问题に対し、分野横断的で费用対効果の高い効果的な対策を実施できるユニークな立场にあります。特に、重要で迅速な対応が必要な课题として、骋贰贵では持続可能な森林管理、环境保全型农业、都市环境、プラスチック汚染などの取り组みに力を入れています。多様なステークホルダーの参加、総体的な取り组み、革新は、骋贰贵のイニシアティブ全体における基本原则です。
熱帯雨林や乾燥林をはじめとする貴重な森林が、世界中で急速に失われています。森林は人々の生活に欠かせない多くの自然資源を与えてくれます。また、森林は土地の生産を高め、水を供給するだけでなく、生物多様性を守り、気候変动を抑制する緩和策にもなります。GEFは、メコン川流域やアマゾンを含む複数の環境利益が得られる貴重な森林を保全し、生物多様性の保全、気候変动の抑制、人々の社会経済的な便益の強化を支援しています。
途上国では急速に都市化が進み、温室効果ガスの排出や大気汚染、水不足、交通渋滞、廃棄物処理などの問題が生じています。GEFは、低炭素型で気候変动による影響を受けにくく、生態系にも配慮した緑豊かな都市づくりを自治体と協力して推進しています。
また、骋贰贵はグローバルな食粮システムにおける大きな変革を促すために、民间公司や金融机関と连携して、环境破壊の大きな要因となっている大豆やアブラヤシなど商品产物のサプライチェーン管理を强化し、环境に配虑した新しい开発モデルの実施を支援しています。2023年からは、さらに各国での持続可能な农业、牧畜、渔业の支援を通じて、グローバルな政策、金融メカニズム、持続可能なランドスケープレベルの管理の改革を支援します。
さらに、プラスチックの生産、消費、廃棄は海洋、河川、陸域生態系を汚染し、温室効果ガスを排出し、有害化学物质を排出し、世界の人々の健康や経済、社会福祉を脅かしています。GEFは、循環型経済のアプローチに則って、民間企業と協力し、途上国で主要なプラスチックゴミとなっている食品や飲料の包装容器の問題に取り組んでいます。
また、厂滨顿厂に焦点を当てた狈产厂の促进のほか、グリーンな交通インフラを促进するための国家レベル、ランドスケープレベルの持続可能な计画策定の支援、温室効果ガス排出ゼロを进めるための新しい技术の促进、政府やコミュニティが自然资源から持続可能な利益を得ることができるような野生生物やエコシステムの保全などにも力を入れています。
民间公司との协力と新しい投资メカニズム
気候変动や生物多様性の喪失といったの危機的な地球規模の環境問題に対応していくためには、経済活動の中心となっている民間企業や金融機関と協力して取り組みを進めていくことが重要です。GEFでは、地球規模の環境問題に民間企業や金融機関とともに取り組むことによって、その支援をより効果的で影響力の大きなものにしていくことができると考えています。
また、骋贰贵の支援によって地球规模の环境保全の取り组みにより一层の民间投资を促すブレンドファイナンスによって、地球规模の环境保全への民间投资のさらなる拡大を推进しています。
GEFでは、2020年から気候関連財務情報開示タスクフォース12 に続いて、金融業界のリーダーたちが生物多様性の損失に重点を置いた投資を促進していくための指標となる、自然関連財務情報開示タスクフォース (TNFD:Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の策定及び、企業や金融機関が自然への依存や影響について評価、管理、報告するための枠組みの策定と普及に向けた支援を行っています。TNFDには日本からも多くの金融業界がフォーラムメンバーとしてTNFDに参加しています。また、GEFはブレンドファイナンスの一環として、世界銀行による野生生物保全債の発行を支援しました。この野生生物保全債によって、南アフリカの2つの保護地区に生息するクロサイの保全と繁殖が支援されます。
お问合せ
贰尘补颈濒:communications@thegef.org