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特集2010年5月25日

式部透 世界銀行 元世界銀行日本代表理事~第16回 世银スタッフの横颜インタビュー 特別編

今回は特别编。日本理事である式部氏に登场していただき、世界银行における日本の立场や、国际社会での日本の役割等、大きな责任を担う立场からのお话を伺った。また、ご自身の「役人にしては少しカラフルな経歴」に関しても语って顶いた。

Toru Shikibu

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広島県出身。東京大学教養学部、東京大学大学院を卒業後、大蔵省に入省。経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD) 、長崎大学の学部長、阪神?淡路復興対策本部などさまざまなキャリアを積み、2007年より現職。

日本の立场、国益を重视する理事の役割

现在は世界银行の业务全般の运営に対して责任を负っている理事会において、日本を代表する立场から意思决定に参加しています。理事会の议长はロバート?叠?ゼーリック総裁です。24名の理事のうち5名は5大出资国によりそれぞれ任命され、残りの理事はその他の加盟国から选出されています。新干线に代表されるように、戦后日本の復兴は世界银行に支えられた面がありますが、他方日本政府は世界银行に多额な资金を提供してきました。このような贡献を反映し、世界银行における日本の投票権はアメリカに次ぎ、第2位の株主国となっています。日本は世界银行に出资することで、间接的に开発途上国に対し长期かつ低利の融资を行っているんです。

世界银行の理事であると同时に日本政府を代表する立场でもあるので、世界の中の日本の立场と役割については常に头にありますね。多额の资金供出国として世界全体の経済协力の中で相応の役割を果たさなくてはいけない。さらに、本当に日本の政府开発援助(翱顿础)というのは意味があるのか、これだけの金额を出す必要があるのか、そういった议论をする际に、やはり海外でこれだけ评価をされている、海外において日本はこれだけのプレゼンスを持っているということも示さなくてはいけません。その意味でも、「国益」という言叶は今あまり一般受けしないかもしれませんが、常に国益を考えて仕事をしていると言えますね。

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金融机関でもあり、开発机関でもある世界银行では、各国の発言力は常にバランスを保つ必要があります。第二位の株主国として、当然、日本の発言権及びそれに见合った职员の人数は重视されるべきです。ところが、世界银行の全职员のうち、日本人の占める割合は1.3%。プロフェッショナルと呼ばれる専门职员でも2.3%です。これではあまりにもアンバランスだということで、増やしていくべきだという声はあちこちから上がっています。世界银行のガバナンスや援助政策に与える日本の影响力は、限られた日本人职员だけでは限られてしまうでしょう。ただし、単纯に数が増えればいいというものでもなくて、入行した方々が质のいい仕事をし、日本の立场を上昇させることもまた重要なんです。

英语で仕事をしなければならない、海外での仕事が求められる、基本的に新卒は取らず、経験者を採用するなど、国际公务员という仕事が日本社会の就职のシステムと相容れない部分があるのは事実でしょう。しかし、それでもスケールの大きさ、やりがいなど、この组织でなければ味わえない仕事がたくさんあります。ぜひ志の高い日本の若い人たちに、世界银行を目指して欲しいと思います。日本が国际社会において、大きな责任を有する国だという事をぜひ実感して顶きたいですね。

高校、大学でそれぞれ留学を経験して大蔵省へ

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高校生のときに家族に连れられて1年アメリカで生活したんです。当时は留学から戻ってきて元の学年に戻るシステムなどなかったので、高校は4年かけて卒业しました。大学には、通常の4年に加えてイギリスに留学し、大学院にも行ったので合计7年もいたことになります。元々は理科系だったんですが、外交官志向の学生や国际関係に兴味を持っている学生に感化されて、国际开発に兴味を持ちました。

就职は、もともと最初は役所に行きたいとは思っていなくて、ジャーナリスト志向だったんです。しかし、大学に7年もいると就职活动の际、色々な制约があって受けられるところが限られてくる。比较的门戸が広かったのがマスコミと公务员だったんですが、いくつかの面接を経て、后辈に诱われて受けた大蔵省に兴味を持ち、入省を决めました。国际的な広がりがあり、パブリックな仕事ができるというところが决め手でしたね。

与えられた仕事に兴味を持ち、やりがいを见つけよう

大蔵省に入省后、最初に配属された主税局は広く税金を集めて配分するところ。自分ではまったく覚えていないんですが、入った时の自己绍介で「国际开発の仕事をやると思っていたのに、こんな辛気臭いところに来るとは意外でした」というようなことを言ったらしいんです(笑)。しかし、今思えば辛気臭いなんてとんでもない!本当に意味のある、面白い仕事をやらせてもらっていたんですね。

入省して2年後にワシントンDCの米州開発銀行(Inter-American Development Bank:IDB、中南米を対象とする国際開発金融機関)に赴任し、その後も税務署長や、在英大使館公使、長崎大学の教授(平成7年、長崎大学経済学部学部長に就任し、同学部の大学院研究科設立に貢献)など色々な仕事をしてきましたが、キャリアを重ねるにつれて、種類は違えど、どんな仕事もやりがいがあって面白いということが段々とわかるようになりました。そのためにはまず、与えられた仕事に興味を持ち、知ろうとすることが重要。今は与えられた仕事に邁進することが自分の幸せです。私は役人には珍しく、国際関係に特化したキャリア(在外4ポスト通算13年を含め25年)を歩んできましたが、その時その時で、自分の役割と任務を果たすことを心がけてきました。

大事なのはコミュニケーション能力と「自分の柱」

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若い人たちには、大きな世界を见て、梦を持って欲しいと思います。いろんなことに兴味を持ち、のびのびとやってほしい。そして、国际的な仕事の场面で求められる、広い意味でのコミュニケーション能力を身につけて欲しいですね。コミュニケーション能力には2つあると私は思っていて、1つは正确な语学力。英语で仕事をするということは、外国人と友达になって仲良くできるということとはまったく别の问题です。例えば理事会などでも、きちんとした英语が使えないと、意见がどうこう以前に相手にもされない。日本は第二の出资国として理事会ではっきりと発言し、政府の意向を明确に反映させなれければなりません。このような议论の际にも、论理的に意见を説明し、相手を説得するコミュニケーション能力が键となります。そして、适切な英语で论理的に説明するには、まずは学校の英语をきちんとやること、基础をしっかり身につけることが何よりも大事です。応用は后からいくらでもできるはずですから。

もう1つは、対话能力です。自分の言いたいことがどれぐらい相手に伝わっているかを、相手の反応も见て理解しながら、その上で正しく自分の意见を伝える能力。例えば、紧迫した理事会の场で、用意した文章を読みあげるんじゃなくて、ジョークを交えたコメントをすると、紧张がほぐれるのでよりすんなりとメッセージが伝わる。これは生のコミュニケーションを通して学んでいくしかないので、若い人たちにはぜひ今から意识して、人との対话でそういった能力を高めていってもらえればと思います。

もうひとつ伝えておきたいのが、国际関係の仕事につきたいと思っているならば自分の専门分野を决めるということ。例えば「国际関係の勉强をしてきました」と言われても、ざっくりとしすぎていて何に兴味があるのかわかりません。世银が求めている人材とは、水とか环境あるいは教育、保健、医疗など、各分野で深い専门知识を有する人材ですが、日本人の志愿者の多くは、どちらかというといわゆる开発経済一般についての専门家、ジェネラリストである倾向があります。これでは需要と供给のミスマッチが生じてしまいます。専攻にしても何にしても、何を自分の柱としてやっていくのかをフォーカスして、「自分はこの分野の専门家になるんだ」という意识を持って将来を见据えて欲しいですね。近年の日本は、留学生の减少や、全般的に内向きだと言われていますが、自分の兴味ある分野を世界レベルで挑戦し、梦をあきらめず、大きな视野でやりがいのあるキャリアを形成して顶きたいと思います。

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