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特集2019年1月17日

上田悟 世界銀行 主任ダム専門官~第53回 世银スタッフの横颜インタビュー

エンジニアとしての仕事からスタート、世界银行に入行してからはプロジェクト全体を担当するような仕事も経験し、现在は世界全域のダムの安全性を确保するという重要な仕事を担うベテラン职员。1年のうち、200日以上を世界各国のダムづくりの现场で过ごし、世界中のダム関係者から大量に届くメールに対応している彼の今までの歩みや、日本人に対するアドバイスをぜひご覧いただきたい。

Satoru Ueda

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1998年から世界銀行中東?北アフリカ地域総局に上級水資源専門官として勤務。イエメン、エジプト、シリア等の灌漑?水資源事業の技術面を担当。2008年にアフリカ地域へ異動。2009年よりタンザニア事務所に赴任。東?南アフリカ地域における主任水資源専門官としてタンザニア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、モザンビーク等において、水資源、上下水道、水力発電セクターに関する政策対話、融資プロジェクトの調査、審査、協議全般を担当するとともに、ナイル川などの国際河川における水資源開発、国別水資源計画、セーフガード政策(ダム安全)や水資源開発?保全に関する知識マネジメント活動等を担当。2013年に本部の水セクターに異動し(現在はGlobal Water Global Solution )、世界銀行のダム安全のフォーカルポイントとして、水、エネルギー、農業、都市/農村などのグローバルプラクティス(GP )における、全地域で50カ国以上における約60件のダムを含むプロジェクト(新規建設、既設修復等)に対して、ダムの計画、設計、建設監理、維持管理等に関する技術支援や審査などを行っている。また、業務政策?被支援国サービス(OPCS)や水、エネルギー等のGPと共同で、新しい環境?社会フレームワークの下に、リスクを考慮したダム安全に関するグッドプラクティス/テクニカルガイダンスノート等を作成中。世界銀行入行前は、建設省(現国土交通省)でダムや洪水防御を担当する技官。またダム技術センターでダムに関する新技術の開発や、都道府県が建設するダムへの技術支援、審査等も担当。東京大学及びマサチューセッツ工科大学(MIT)大学院修了。

构造物を作ることに兴味があった大学时代

东京大学で农业工学を専攻し、そのまま大学院に进み土木工学で修士を取りました。土壌保全、地质学、水理学、构造力学などを学びましたが、その时点では途上国に贡献したいと思っていたわけではないんです。纯粋に、构造物を作って発展させていくことに兴味を持っていました。

物づくりがしたいという思いから、修士を修了してすぐに、当时の建设省(现国土交通省)に入りました。最初は淀川の工事事务所に配属され、その后、本省、地方整备局、土木研究所などで、洪水防御、水资源开発やダムに関する様々なポジションを経験しました。その后、もっと幅広く海外の事例なども勉强したいという思いから、1992年にマサチューセッツ工科大学(惭滨罢)大学院に留学しました。

惭滨罢留学が日本から海外に目を向けるきっかけに

惭滨罢で途上国援助に関係する讲座をいくつか取ったことが、开発という概念に触れたきっかけだったかもしれません。惭滨罢では2年勉强し、それまでは技术的なことばかり勉强していたのが、教授のもとでプロジェクトを手伝ったときに、とても印象的な経験をしたんです。

ボストンでチャールズ川に大きな高速道路の桥をかけるプロジェクトがあったのですが、开発している役所、反対している狈骋翱など、あらゆる関係者にインタビューをして、纷争调整の専门家であるローレンス?サスカインド教授のもとで彼らの主张や意见を分析し合意调整を可能にする要点等をまとめました。プロジェクト全体を见るいい机会になりましたし、今后もっとやっていきたいと思いました。

その后日本に帰ってもダムや水资源に関わる仕事を続けていましたが、日本では大规模な水に関わる开発は落ち着いてきた顷でした。エンジニアとしてはもう少し大きなバックグラウンドが欲しいと思い、経済的なインパクトや开発の便益が大きい海外で仕事をしていきたいと思うようになったんです。

世界银行に出向、その后职员に

ちょうどその顷、日本の灌漑技术や洪水防御技术に兴味を持っている机関があり、その机関を通して世界银行が日本人のエンジニアを探しているという话を闻きました。行きたいという希望を役所に伝えたら、出向という形で许可がおり、1998年に长期コンサルタントで世界银行に出向することになりました。

中东?北アフリカ地域担当で、主に水资源开発と灌漑整备の分野で、设计书やコスト、スケジュールの审査や监理に携わりました。やっているうちに、もっときちんとこの仕事をやりたいと思うようになりましたし、ありがたいことに上司も评価してくれて3年目に职员になり、5年目に、そろそろタスクマネージャーをやったらどうだと言われ、「やらせてもらえるなら残る」と世银のオープンエンドのスタッフ职员になり、イランとイエメンのプロジェクトを2つまかされました。ダムを含む灌漑开発计画で、準备から审査、监理まですべて担当しました。

2008年にアフリカ地域総局に异动し、2009年から主任水资源専门官となりました。アフリカに行ってからは水セクターのチームリーダーとして、东アフリカの国々、ケニア、タンザニア、ウガンダ、モザンビーク、ガーナなどを担当しましたが、2009年からタンザニアに赴任したので、タンザニアでの仕事が中心となりました。セクター?ワイド?アプローチ(注1)の手法をとったプロジェクトを担当しており、エンジニアの仕事だけでなく、フランスやドイツなどのドナーとの调整、政府の予算管理なども仕事に含まれていたので、正直大変でしたね。ただ、现地にいたからこそ様々な人との仕事を通じて近くなれたので、いい経験だったと今は思います。

英语は事前の準备と知识が大切

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ダム事务所の会议室での打ち合わせ(ミャンマー)
英语に関して、やる気にさえなれば、世界银行には勉强する材料がたくさんあると思います。公开されているプロジェクトの资料を読めば、ポイントや、自分の持っている技术をどのように活かせるかが自ずとわかってくるはずです。自分自身、そのように考えたことを同僚や上司に话して、それは面白いね、実际のプロジェクトに使ってみようか、といった展开になったことも多くありました。

会议でも、人の话をただ闻くのではなく、どういうふうに説明しているのかを観察して真似したり、自分が言えることは3つしかない、ならばこの3点だけはこのタイミングでこうやって言おう、と日顷から準备していると、少しずつ発言できるようになりました。世界银行にはライティングやプレゼンテーションの研修もあるんですよ。

结局、自分がよく知っていることを话すのが大切だと思います。私が在籍する水セクター部门はエコノミストが多く、エンジニアが非常に少ないんですよね。コスト削减の方法や安全な设计の话をすると、「こういう话をするやつは珍しい」と真剣に话を闻いてもらえました。大规模な水理建造物についての知识を持っている人は限られているので、自然とネットワークも広がりますし、一绪に仕事をしないか、と声をかけられることもよくありました。取水堰や水路などをみる一般の灌漑の専门家も数が少ないので、ダムのような特殊な构造物になるとほぼいないような状况ですね。

タスクマネージャーとしてプロジェクトの準备、审査や监理を担当することも、世界银行の职员としては大事なことなので、やりましたが、その结果、専门的なことができる人がとても少ないと感じたので、それからは自分の専门分野を活かせるような仕事に比重を置くようにしています。

365日のうち200日以上が出张

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Trung Son水力発電ダムの建設現場にて(ベトナム)
结局タンザニアには3年半いて、世界银行本部の水セクターに主任ダム専门官として戻りました。世银の融资に関与する全6地域のダムの安全を担保するために、数だけで言うと约50カ国における60ほどのプロジェクトを见ています。计画や设计がきちんとできているか资料を确认するだけのものから、现地に出向いて相手国の设计デザイナーなどに会い议论したりするものまで、関わるレベルは様々ですね。难しい点というのは细かいところにあるので、现地に行って地形や地质、ボーリングコアの観察を行い、また地质の専门家と议论したり、ダムサイトや採石场へのアクセスルートを确认したりと、现地に行かないと対応が难しいことも多いです。

概略、详细设计などの资料の确认も大量にあり、要点を确认するだけでも时间がかります。安全に関わることなので重要ですが、ほとんどの场合、当该国の调査、设计には不十分な点があり、详しいコメントを书いたり、ビデオ会议で説明したりということの方が多いですね。ダムを作るということは、环境や住民移転、ときには国际河川の问题もあり、外科手术のような侧面もあるため、代替案との比较も含め様々な条件を十分に吟味する必要があります。

ダムの安全审査については、つい最近までこれらをひとりで担当していたんですが、出张は1年のうち200日以上となり、一人でこなすのは不可能なので、上级ダム専门官を一人採用し、これからもう一人来てもらう予定です。

特にアフリカでのインフラ系の仕事の需要は高いと思いますね。変动している河川の水量を调节して、洪水を防ぎ、安定した水量を供给するのが水资源开発の仕事ということになるのですが、日本の河川の水量は昔から非常に変动が大きいので、それに対応してきた日本の水や水力発电関係のインフラや技术はとても高いレベルにあります。対してアフリカでは、人口は増えているのに贮水池の数は足りないし、补修もされていない。大规模な开発になると大きな资金や十分な调査/準备が必要になるので、世银グループなどとともに、水力発电や水道など民间公司が入りこむ余地は十分あると思います。

他の机関ではできない仕事が世界银行ではできる

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南京水利科学研究院での讲演(中国)
日本人として世界银行で働くことについては、日本人は緻密で一生悬命仕事をするという印象に助けられていると思いますね。世界银行の多様性の一部として、日本人がいることはいいことなのではないでしょうか。

醍醐味としては、やはり世界银行では他の机関ではできない仕事ができる、ということに尽きます。相手の政府からも世界银行の仕事ということで优先的に见てもらえるし、影响力があるので新规のプロジェクトをスタートする际にリードを取ってください、と言われることが多いです。また、ある国で新しい制度や法律を作る际にアドバイザーになってほしいと頼まれることもあります。

仕事以外の趣味は、たまに妻と旅行に行くことでしょうか。最近では旅行や出张で、レソトやモザンビーク、インド、カンボジアなどに行きました。もともとタンザニアには妻も一绪に住んでいましたし、いろいろな国に行くのは好きなようです。

今后は、何人かを採用することによってチームのキャパシティを强固にし、自分が辞めても问题ないようにしたいですね。辞めるのは冗谈にしても、今后もう少し本部での仕事を人にまかせられるようになったら、またアジア地域等の现地事务所で働きたいという気持ちはあります。

日本の若者にもっと来て欲しい

これから世界银行を目指す方に言いたいことは、まずは世界银行に入る前に自分の専门分野を确立することです。卫生、农业、土木、教育など、どんなことに自分は兴味があるのかを见定めて、その分野をしっかり勉强してください。その后、役所や公司、コンサルなどでそれに関连した経験を积み、世界と日本が自分の専门分野に関してどういう立ち位置にいるのかを観察するといいですね。そうすると、日本にいたときの経験と、途上国に行って仕事をするときのギャップが少ないのではないでしょうか。日本の技术は高いけれど、そのままでは途上国に使えません。そこを调整するのにも役立つと思います。

英语を勉强することはもちろん大事ですが、ただ勉强するのではなく、自分の言いたいことを论理的に英语で説明する训练をし、いろんな発表の机会を大事にしてください。世界银行に入った后も、外部机関などに発表を頼まれたら嫌と言わないこと。それが自分の情报発信にもなりますし、训练にもなります。また、これは私も得意ではないんですが、上の立场にいる人と积极的に话をすること。例えば世界银行に若手として入ったら、マネージャーや上级専门官、主任専门官のところに行って颜を覚えてもらい、话をしてください。私自身、そういった机会の前には想定质问をして、これだけは言おう、とある程度のシナリオを準备していました。英语が得意ではないなら、事前に準备することは大切です。今はウェブサイトでさまざまな资料に触れることができるので、いくらでも材料はありますよね。私自身、世银の充実したデータベースやインターネットがなければ仕事ができないと思うことは多いです。

まだまだ日本人は少ないのが现状なので、日本人の方にはどんどん来て欲しいですね。私がいる水セクターや、エネルギーや都市、运输セクターは、実力をきちんとつけさえすれば、日本人は入りやすい分野だと思いますよ。日本人の中で潜在的に能力がある人は多いと思うので、积极的に自分を磨き、开発の仕事にチャレンジしてみて欲しいと思います。

(注1)&苍产蝉辫;従来の开発支援は、援助国や国际机関がそれぞれの计画に基づき行われていたが、この方式では、个々のプロジェクト相互の调整が十分でない场合があり、被援助国の吸収能力の问题も相まって、効果的な援助が実现できない场合があった。このため、援助国等と被援助国が协力して、保健や教育など个别の分野(セクター)毎に整合性がある开発计画(プログラム)を策定?実施するというセクター?ワイド?アプローチが提案され、特にサブ?サハラ?アフリカにおいて主流になっている。(出所:外务省ウェブサイト)

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