木瓜影院

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特集 2021年2月5日

人事が语る~グローバルキャリア构筑のための処方笺~ ブログシリーズ 第7回 職員が世界银行を辞める理由?退職者面談の結果から言えること (戸崎智支 HRビジネスパートナー)

2020年は新型コロナウイルス感染症に翻弄された1年でした。年末にはワクチンの开発、欧米先进国では当局の迅速な认可、医疗従事者への接种开始など光明が见えてきましたが、変异种の确认など未だ感染の猛威は衰える様子は见えません。今年1月にプレスリリースされた世界経済见通し(骋贰笔)2021年1月版では、今回の危机を封じ込め、投资拡大のための改革実行に向けて断固たる政策措置を讲じない限り回復は完全なものとはならない可能性が高い、と指摘されています。こうした动きに人事要员计画も対応しており、2021年も継続して世界银行グループの求人、特に现地事务所のポストの採用ニーズは旺盛であると思われます。2月1日现在、70を越えるが公募されているほか、日本政府が支援するジュニア?プロフェッショナル?オフィサー(闯笔翱)とミッドキャリア(惭颁)ポジションも募集开始予定です。今年も引き続き転职検讨者向けに、採用ページには掲载されていない生の情报を共有させていただきます。

今回は世界银行职员の离职理由を考察してみました。タイトルを见ると一瞬、どきっとするかもしれませんが、転职活动の基本が転职希望先の情报を集めることであることは、皆さんも认识されていると思います。労働条件や応募资格など调査すべき情报は様々ですが、组织の离职率に注目している人も多いのではないでしょうか。あまりデータとして公开されないものですが、安定した职を辞してまで転职するので、失败したくないと考えるのであれば当然気になる项目と思われます。昨年、日本人採用ミッションで最终选考を通过された方から、现职で昇进が打诊され、世界银行のポストのオファーを受けるかで迷っているということで相谈を顶いた际に、「日本人职员が辞める主な理由は何ですか」との质问を顶きました。その方の入行后、私の回答が世界银行への入行の决心の助けになったと报告を顶いたので、このブログの読者の皆さんにも参考になるのではと思い、今回は职员の辞职理由について记事にしてみました。
 

离职率とは

离职率には、国际基準や法的に定められた定义や计算方法はありません。したがって雇用主によって离职率の定义は异なりますが、大方一定の期间内に退职した人を在籍している人数で割って「100」をかけると得られます。

「一定期间に辞职した人数÷一定期间の在籍者の人数×100」

世界银行では离职率を公表してはいませんが、贬搁ビジネスパートナーとして担当する部门のおおよその离职率を计算して採用の効率性や要员计画の予测に使うことがあります。世界银行の会计年度は7月から翌年6月となっており、その会计年度を离职率算出上の一定期间とすると、世界银行の离职率は约6%と言われています。私の民间セクターでの経験から、多国籍公司の离职率は景気の波なども含めて2000年代以降约10%台で推移してきているので、世界银行の离职率は低い倾向にあると言ってもいいでしょう。これは、世界银行が働きやすい场であることや、待遇の面で恵まれていることを示す目安として捉えていただいても良いと思います。また、入行自体が难関なので、折角苦労して得た职をそう简単には手放したくないという倾向もあろうかと思います。
 

日本人の离职率と退职时面谈

ただし、これを日本人职员に限定して分析すると少し违った光景が见えてきます。われわれ人事部では、世界银行で活跃する日本人を増やすため採用活动に力を入れていることは、このブログで何度も绍介してきましたが、同时に日本人职员の定着にも注力しています。というのも、日本人専门职员の离职率は一般的な平均より一贯して1-2%高い倾向にあるからです。それでは、难関を突破して入行した方々かどうして辞めてしまうのか、データと「退职时面谈」の结果から考察していきたいと思います。退职时面谈とはあまり闻きなれない言叶かと思いますが、退职时の退职理由等の闻き取り调査です。主に多国籍公司で使われている手法で、离职者の话を闻いて人事戦略や职场の改善に役立てることに使われます。直属の上司への辞表提出时には、当たり障りのない理由を述べる退职者が多いものの、実际には上司との相性だったり职场の问题点等があぶりだされることがあるので、人事担当者や时には社外第叁者等が闻き取りをします。世界银行グループでも、退职时にメールによるアンケート方式で离职理由を闻いていますが、必ずしも回答率は高くないのが现状です。よって职员定着向上を目的に、日本人採用ミッションのプロジェクトの一环として过去のある一定期间、日本人の退职者を対象に直接闻き取りをしたことがあります。

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(国際機関で使用されるExist Surveyの例:筆者提供)

 

职员はどうして辞めるのか。

一般的なデータとして世界银行グループを含め国际机関の职员の退职理由としては、

  1. 定年退职(早期退职选択者も含む)
  2. 自己都合
  3. 契约満了(契约が更新されない)

の3つのカテゴリーがほとんどです。1の定年退职は国籍に限らず一定数発生してくるカテゴリーでなので出身国による统计的な倾向の违いはありません。そうすると、2と3の部分で日本人の离职がより多く発生していることになります。ここで退职时面谈の闻き取りが活かされます。

2の自己都合退职では、ある程度予想はつくと思いますが、退职理由は圧倒的に「転职で日本またはアジアに帰る」という方が多くなっています。自己都合で辞める人たちの8割にのぼります。残りの2割は他の国际机関や开発援助机関のアジア以外の现地事务所、特にアフリカへの転职となっています。日本や近隣アジア诸国に転职を决めた理由として、さらに细分化すると、お子さんの教育、配偶者?パートナーのキャリア、ご両亲の介护といった人生における重要な决断のために日本または帰国しやすいアジア诸国で仕事がしたいという理由と、日本の大学や公司でより魅力的な就业机会といった纯粋にキャリア上な理由とが半々程度となっています。もちろん、その両方の要素が复合的に重なり合っているケースもあります。世界银行も东京をはじめアジア诸国にオフィスがありますが、职员が动きたいときに自分の専门のポストに空席があるとは限らないので、世界银行から见ると职员の流出につながっているのですが、例えば日本の政府系开発援助机関やアジア开発银行等へ転职はキャリアの一贯性が保たれ、国际开発分野での日本人人材层の强化に贡献していると言えると思います。また大学などで国际开発学などの分野で教鞭を取られる方については、次世代の开発业界の人材育成に多大に贡献顶いていると言えるでしょう。世界银行翱叠、翱骋で日本の大学にいる先生方には、リクルートミッション等でキャリアセミナーの开催などで协力いただいたり、研究室から闯笔翱やヤング?プロフェッショナルを辈出しているケースも见受けられます。

一方で、家庭の事情で辞めて日本に帰国していく方の中には、本人はできれば世界银行に残りたかったが、やむを得ずといったケースも见受けられます。世界银行に転职した当时は人生设计や家族への影响まで考えていなかったが、今思えばもう少し配偶者と先々の计画について话しておけばよかったとの思いを吐露してくださった方もおられます。よって、现在日本にいて世界银行への転职を目指される方はぜひご家族と长期的な人生の计画についてある程度シミュレーションしておくことをお勧めします。いざ内定を得てから考えればいいのではと思われる方が大半と思われますが、国际机関への転职での海外赴任は结果的に长期になるので、日本公司の海外驻在派遣とは异なる心构えや準备が必要になります。

3の契约満了については、职员は组织に残りたいのに契约が更新されないというケースが一般的です。世界银行グループをはじめ国际机関では、正规职员募集でも2~3年の有期雇用契约が一般的です。初めから一回のみの契约と决まっているポストは稀で、勤务评価と仕事の需要により延长されていく仕组みになっていますが、契约が延长されないケースとしては勤务评価が部署の期待値に达していないケースと、プロジェクトの案件数や仕事量が十分でなくポストを维持する需要がないケースがあります。本人の勤务成绩が良いのにポストがなくなる、という场合はマネージャーがポストを绍介してくれたり、応募先の部署に推荐してくれることもあります。同时に我々职员自身もネットワーキングをして、内部の空席に応募しつつ、なんとか残留していく努力をしていきます。それでも叶わなければ契约期限の数カ月前から通告があり退职の準备を进めることになります。こういうケースを避けるためには、契约満了直前や勤务成绩査定の时期だけではなく、常日顷から直属の上司と仕事の成果が期初に立てた目标にどのくらい达しているか、また、何が改善すべき点があればどのようにして挽回するべきかなどを自ら积极的に相谈しておくことが必要です。终身雇用を前提とした组织で勤务されている方にはなじみのない仕组みかと思いますが、世界银行では、远虑せずに自律的にこうした议论を上司に働きかける姿势が求められます。

一方、日本人、特に若い层では「积极的に契约更新の働きかけをしない」という意味で自己都合退职に近い契约満了のケースも见受けられます。特にワシントン顿颁勤务者で途上国経験を积みたいと思っている方は世界银行グループ内で现地事务所への异动が叶いそうになければ、転职活动をして契约満了时に别の组织で途上国勤务の経験を选択するというケースもあります。また専门を深めるために契约终了のタイミングで博士号を取得するために进学する方も毎年见受けます。短期的に见れば人材の损失ですが、こういったケースでは経験を积んでまた世界银行に戻ってくるといったキャリアも想定できるため、个人的には応援したいと思って送り出しています。

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(写真:退職する同僚の送別会の様子 ワシントンDC?2019年秋頃)

 

まとめ

今回は、世界银行グループへの転职を検讨する皆さんへの情报提供として、离职率について考察しました。データに基づき中立的な议论をつとめました。世界银行グループとしては日本人职员にできるだけ长く働いてもらいたいというのが原则的で大切なメッセージであり、経営干部や人事部にとって、仕事のやりがいがあり、かつ働きやすい职场环境の提供は最优先事项の一つです。日本人の离职率はやや高い倾向にありますが、世银勤务経験者へのニーズは坚调で、离职后も日本を中心に世界银行での経験を有効に活用している方々がほとんどのようです。一方、キャリア以外の个人的な理由で不本意な退职を避けるためには、転职が决定する前から长期的な海外生活を想定し、时には家族と话し合って合意を形成しておくことが、长く活跃することの秘诀とも言えるでしょう。また、勤务成绩が原因で契约が延长されないという事态を避けるためには、日顷から上司ときちんとコミュニケーションをとり、期待されている仕事内容を定期的に确认し、确実に成果を出すことが大切です。最后に、仕事が厳しくて脱落してしまうのではないかとか、国际机関ではある日突然退职勧告を受けるのではないかと不安を闻きますが、そのようなケースはほぼ见かけないという事を加えておきたいと思います。

今回は离职をテーマしましたが、多くの职员は长期间勤务していますので、魅力的な职场であることは自信を持ってお伝えしたいと思います。にも転职者向けの様々な情报を提供しておりますので、兴味がある方々には是非世界银行の门を叩いていただければ幸いです。

 

笔者略歴

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戸崎智支 人事総局 HRビジネスパートナー
Satoshi Tozaki, HR Business Partner

早稲田大学政治経済学部卒业后、鉄道会社、外资系会社勤务。その后アジア経済研究所开発スクール(滨顿贰础厂)を経て、コーネル大学にて产业労働関係学修士号を取得。多国籍公司の人事マネージャーとして北アメリカ、东南アジア、日本法人等で勤务后、2014年に国连に移り、国连人口基金(鲍狈贵笔础)ニューヨーク本部人事戦略および分析担当官を歴任。2016年に採用担当官として世银に移籍。金融、保健、环境、およびインフラ関连の専门家、エコノミストの採用を担当。2018年より贬搁ビジネスパートナーとしてクライアントサービスチームに异动。日本人リクルートミッション事务局运営担当も歴任。世界银行グループにおける様々なグローバル人事?ダイバーシティイニチアチブに携わる。



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