背景:インドの鉄道網は世界屈指の規模となっており、年間80億人にのぼる乗客と11億トンもの貨物を輸送しています(2016年)。 要点:都市部の鉄道プロジェクトに災害リスクに対する検討事項を盛り込むためのガイドラインを作成し、気象災害と従来の強靭性レベルに関する研究を支援しています。この研究によって、適切な早期警報システムに向けた提言と、運用可能な緊急事態準備および気象災害に対する強靭性の強化に向けた提言が行われています。 成果:このプロジェクトは、国際復興開発銀行(IBRD)の「東部専用貨物鉄道プロジェクト」(6億5,000万ドル) の実施に技術支援をしています。さらに、東京防災ハブは日本の専門家をインドに派遣し、鉄道網の早期警報システムと規制に関する優良事例を共有してきました。
背景:交通セクターへの投資は持続可能な開発に不可欠であり、人々を仕事や医療サービス、教育などにつなげています。気候の影響が自然災害による被害を深刻化し続ける中、投資した交通セクターが地滑りや洪水、地震などの気象災害にさらされることが増えています。 要点:グローバル?プロジェクトは、ケニア、ラオス、パラグアイ、ペルー、セルビアという気象リスクや災害リスクにとりわけ脆弱な5か国における道路交通インフラに寄与しています。プロジェクト活動は、大規模な国家レベルの交通インフラ整備?保守戦略の一環として、気象災害への脆弱性評価報告書の作成を支援してきました。 成果:このような気象災害への脆弱性評価は、各クライアント国で実施する强靭な交通のためのパイロット?プロジェクトの設計に反映されました。特にケニアでは、イシオロ―マンデラ回廊における強靭な道路網の設計に重点を置く、国際開発協会(IDA)の「ケニア北東部交通改善プロジェクト」(5億8,600万ドル)の準備と評価に貢献しました。
背景:気候の影響を受けやすい現代において、水の安全保障は長期的な強靭性をもたらす中心的要素であり、そうした安全保障を保護するものとしてダムは不可欠です。 要点:プロジェクトによって技術支援が提供され、水資源機構(JWA)の技術者が、インドのマイトンダムの地震後緊急点検マニュアル策定の支援作業に従事しています。 成果:東京防災ハブは、南アジア全体のダムの強靭性を向上させる、持続可能な地震時対応システムの開発に対して技術支援を提供することで、JWAと南アジア現地機関のパートナーシップ強化を支援しています。
背景:強力な建築規制の枠組みへの投資は、強靭性を大規模に強化するための最も費用効果の高いツールの1つです。 要点:ジャマイカやインド、ケニアが、建設セクターにおける災害リスクに関する対話を通じて、国家レベルでインフラの強靭性を高めることを支援しています。また、規制プロセスの改革を後押しし、投資ニーズの情報を提供するために建築規制能力評価を構築、現地機関の能力強化を実施しています。 成果:ジャマイカでは、関連する活動が国際復興開発銀行(IBRD)の「災害時脆弱性軽減プロジェクト」(3,000万ドル)の実施に貢献しました。活動によって建築法の可決が円滑に進み、ジャマイカ規格基準局の建築基準改定に寄与し、政府の建築基準に関する訓練プログラム実施を支援しています。
背景:学校施設を耐震基準に合わせるという日本の経験は、政策策定、プログラム設計、ファイナンス方式、プログラム実施に関し、途上国に重要な教訓を提供しています。 要点:このプロジェクトは、ペルーの教育省が、国内初となる学校施設のための地震リスク軽減に向けた国家計画を策定?実施することに役立っています。 成果:公立学校の改修耐震補強という日本の経験を土台とし、さらには日本の文部科学省の技術支援を受け、ペルーの教育省は2017年に地震に対する脆弱性軽減プログラムである「リマ計画」(10か年計画、30億ドル)の実施を開始しました。このプログラムによって2021年までに12,000校の強靭性を高め、現在リスクにさらされている推計250万人の子どもが恩恵を受けることになります。
背景:近年の技術革新により、地理空間的データを収集?評価?伝達する方法の改良が進み、費用も減少してきました。 要点:ブラジルでは洪水による資産の暴露リスクを特定するために、プロジェクトによってリモートセンシング技術とドローンを試験的に導入しました。 成果:このような活動により、セアラとサルバドルにある2つの州政府の災害リスクに関する理解を深めること、さらに防災を主流化し地域計画、公共投資、公共ファイナンスに組み込むことが促進されました。
背景:ヤンゴンは、地震や大規模な洪水、地滑りなど多様な自然災害のリスクにさらされています。このような災害は大きな経済的、社会的コストを伴い、貧困層や社会的に脆弱な人々に大きな影響を与えます。 要点:この技術支援は2つのプロジェクトに対して提供され、JICAのヤンゴンでの取組を補完する現在進行中の国際開発協会(IDA)プロジェクト「ミャンマー東南アジア防災プロジェクト」(1億1,700万ドル)、さらには世界銀行チームがJICAと密に連携して行った道路投資を含むプロジェクト「ミャンマーの洪水?地滑りからの緊急復興プロジェクト」(2億ドル)に貢献しています。 成果:日本のアジア航測株式会社が、光による検知と測距(LiDAR)を用いて洪水リスクのデータを取得し、エンジニアリング?コンサルタントである日本工営株式会社がデンマークのSweco社との合弁事業により、ヤンゴンの排水施設整備の設計?管理の準備を整えています。
背景:太平洋諸島には小さな島々が点在し、さらには生物多様性が脆弱なことから自然災害に非常に弱く、結果として起こるリスクに対する管理能力が低くなっています。 要点:災害に対する強靭性?早期警報?事前準備を強化させること、また特にトンガとサモアに重点を置きながら、太平洋島嶼参加国の災害後対応能力の向上を目指しています。 成果:世界銀行と東京防災ハブの支援を受けた国の技術チームが、トンガ国内の地震監視所および監視システムに必要な改善点を特定するため、日本の技術者と連携して取り組んでいます。
背景:フィリピンは環太平洋火山帯と並んで位置しているため、地震活動と火山活動が頻繁に発生しています。 要点:国の建築規制の強化に重点を絞ったプロジェクト活動に、日本の専門知識が大きく貢献しました。一方、台風30号ハイエンとボホール島のマグニチュード7.2の地震後の現地評価はJICAと協同で実施されました。 成果:専門家の支援が国家建築基準の改訂に対して提供され、さらには国際復興開発銀行(IBRD)の「災害リスク繰延引出しオプション付き災害リスク管理開発政策借款」(5億ドル)実施時に、フィリピン政府を支援しました。
背景:水文気象による災害は、世界全体の災害による損失のうち90%を占めています。正確な天気予報と早期警報システムが人命を救い、水文気象災害によって後退する危険性のある開発を確保し、生産性を高めます。 要点:このプログラムでは、水文気象サービスおよびシステムの近代化に投資するアフリカの8か国に対し、技術面および政策レベルでの助言サービスを進めています。 成果:ブルキナファソ、チャド、マリ、ニジェール、トーゴでは、総額約2億ドルの投資プロジェクトを設計する際に行われた評価から得られた、成果や提言が活用されています。
背景:各国政府が災害リスクを管理し、効果的な緊急事態対応サービスを提供することは重要であり、とりわけインドネシアのような災害の多い国では不可欠です。 要点:プロジェクト活動によってインドネシア政府の洪水リスク管理能力、またダムの運用における緊急事態準備能力の向上に貢献しています。東京防災ハブは、日本政策投資銀行など日本から専門家を特定、派遣しました。派遣された専門家は、障害者を包摂する開発、革新的な資金調達メカニズム、グリーンインフラに関する優良事例を共有し、プロジェクトの実施を支援しました。 成果:日本からの支援により、都市部の洪水リスク管理への大規模な投資の強化が今後期待されます。
背景:災害リスク削減、リスクファイナンシング、水文気象システムにおける戦略的投資や成果を特定する目的で、地域プロジェクトが活用されています。 要点:地域プロジェクトは、国際開発協会(IDA)の融資の支援を受けるカンボジア(6,000万ドル)、ラオス(3,000万ドル)、ミャンマー(1億1,600万ドル)の3つのプロジェクトの設計および実施に貢献してきました。ワークショップや研修には計およそ200名の政府職員が参加し、各国政府の災害リスク管理能力の強化につながりました。 成果:財政面の強靭性と解決策に関する政策対話が深まり、東南アジア災害リスク保険ファシリティ(SEADRIF)をはじめとする革新的な地域を対象としたリスクファイナンソリューション策の準備を支援するための基礎が築かれました。
2018年10月、東京防災ハブは、シンド州政府とパキスタンの灌漑局の職員を対象に、14日間にわたる研修プログラムを石狩市、札幌市、東京都にて開催しました。 要点:このプロジェクトは、ベースライン調査方法とモニタリング計画の開発、またインダス川下流における土砂流送モデルのより良い理解に向け、パキスタンを支援しています。 成果:この研修により、パキスタンのシンド州政府と学術機関からの参加者は、日本の専門家と結びつきができ、堰の運用、土砂堆積のモニタリングと管理、統合的な水資源管理に関する優良事例を学ぶ機会が提供されました。国際復興開発銀行(IBRD)の「シンド州堰整備プログラム」(2億800万ドル)の実施強化に、この共同研修が貢献しています。
2018年11月、東京防災ハブは世界銀行の運輸グローバル?プラクティス?グループと共同で、ベトナムの運輸専門家を対象とした1週間にわたる知見交換研修と視察を主催しました。 要点:視察の間にベトナムの当局者は、橋梁の強靭化の向上と超高性能コンクリート(UHPC)を用いた橋梁建築に関し、日本の経験から学びました。ベトナム道路総局および運輸交通省の専門家が、日本の官民セクターの専門家と優良事例について情報?意見交換を行いました。日本からの参加者には、首都高速道路株式会社や大成建設株式会社、東京大学などの代表者が含まれています。 成果:この視察により、ベトナム政府の強靭な橋梁を建設する能力が向上し、国際復興開発銀行(IBRD)の「自治体の管理下にある道路資産の管理プログラム」(3億8,500万ドル)の実施に貢献しました。
アフガニスタン政府と世界銀行との緊密な協力を通じて、アフガニスタンの水文気象?早期警報サービスを強化するためのロードマップが、プログラム活動によって作成されました。 要点:このロードマップには、アフガニスタンがどのように水文気象サービスと早期警報サービスを優先して進め、国の制度面での能力を向上させることで人命と生活を守り、より広範な社会的?経済的発展を後押しできるのか、その方法の概要がまとめられています。アフガニスタン特有の課題と成果も、このロードマップで特定しています。一例として、広大な監視ネットワークを構築せずにサービスの提供を改善する必要性があることが挙げられます。 成果 :このロードマップは、「灌漑復旧?開発プロジェクト」(7,100万ドル)および「アフガニスタン農村部アクセス?プロジェクト」(3億2,500万ドル)など、アフガニスタン国内の国際開発協会(IDA)の活動に対し、貢献してきました。また、アフガニスタン政府はこのセクターの発展に向けた手法を開発しているため、このロードマップが同政府によって活用されています。
2018年8月、インド政府、州政府、中央水委員会、世界銀行ダム復旧?改修プロジェクト、水資源機構の関係者、およびその他のステークホルダーが、世界銀行東京事務所にてインド政府がダムの運用?保守に関して直面している課題について協議し、防災をダムの各プロジェクトに主流化する方法について検討を行いました。 要点:参加者は、日本のインフラ事業における災害リスクと気候リスクへの対応策について学びました。 成果:会議で共有された技術的な知見や優良事例、専門知識は、今後の日本との協力について検討する際の参考材料となります。
2018年8月、インドネシアにおける革新的な都市洪水リスク管理のワークショップに向けて、東京防災ハブは日本の専門家の選出と派遣を支援しました。これは、インドネシア国内で現在進められている都市の強靭性と緊急事態準備に関するプロジェクトの一環として行われたものです。 要点:日本政策投資銀行地域企画部の荘浩介氏および北栄階一氏が、グリーンインフラと都市洪水リスク軽減投資に関する革新的なアプローチを共有し、とりわけグリーンボンドや官民パートナーシップについて紹介しました。 成果:この知見共有により、都市洪水リスク管理のためにグリーンインフラと革新的な投資成果を模索することを目的とするインドネシアと日本の協働について、さらに関心が高まりました。
チュニジアのプロジェクトでは、地方自治体や地域社会が災害リスクをより理解し、現地での計画立案において防災の主流化を可能にする参加方式のアプローチを用いています。在チュニジア日本大使館と国際協力機構(JICA)より、この技術計画立案委員会に初期段階からご協力を頂きました。 要点:JICAが資金提供したプロジェクトから作成されたリスクデータが、このプロジェクトの一環として整備されたリスクマップに反映されることで、そのプロジェクトの質に大きく貢献してきました。さらに、日本の民間セクター(八千代エンジニヤリング株式会社)の専門家がリスクマップ開発担当の専門家と面談を行い、洪水リスクデータ収集に関わる情報交換を行いました。 成果 :この日本の専門家との情報交換が、洪水リスクマップ開発とリスクデータ収集法の改善に関して貢献しました。
2018年10月、バヌアツにてリスクファイナンスを理解する太平洋フォーラム(URf Pacific)2018が開催されました。 要点:国際協力機構(JICA)の馬場仁志氏が、日本の緊急調達協定から学んだ教訓についての論文を、緊急事態対応計画に関するワークショップで発表しました。 成果:この共有は、クック諸島、マーシャル諸島、サモア、トンガ、バヌアツによる大洋州自然災害リスク評価および資金援助イニシアチブ(PCRAFI)緊急事態対応計画の策定に反映されました。DRFIにおける日本の専門知識と経験は、現在進められている社会保護および産業の強靭性に関する事例研究にも反映されています。